増刊号特集 前立腺疾患'96
前立腺癌
診断のための検査と評価
腫瘍マーカーはどこまで役立つか
栗山 学
1
Manabu Kuriyama
1
1岐阜大学医学部泌尿器科
キーワード:
前立腺癌
,
腫瘍マーカー
Keyword:
前立腺癌
,
腫瘍マーカー
pp.163-165
発行日 1996年3月30日
Published Date 1996/3/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413901751
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はじめに
前立腺癌診断における腫瘍マーカー測定は,1936年のEB Gutmannらの転移性前立腺癌の血中酸性ホスファターゼ(ACP)の高値の報告から始まっている。ACPの測定は,その前立腺分画であるprostatic acid phosphatase(PAP)の免疫学的測定へ発展し,さらにPAP以外の腫瘍マーカーの同定を目的とした研究の結果として1980年代から前立腺特異抗原(prostate-specific antigen:PSA)やγ-seminoprotein(γ-Sm)の利用が可能になってきている。その後の研究の結果,PSAは全固形腫瘍中最も優れた腫瘍マーカーとして認められているが,一方ではこうした腫瘍マーカーの利用に一定の限界があることも明らかになっている。
本稿では,主としてPSAについて今日的問題点を述べるとともに,診断精度をより高めるための試みについて述べる。
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