小さな工夫
ミトロファノフ手術の変法術式
山本 秀伸
1
1栃木県立がんセンター
pp.510
発行日 1995年6月20日
Published Date 1995/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413901539
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尿道からの自己導尿が困難な場合,虫垂を導尿のための輸出脚として利用するミトロファノフ(Mitrofanoff)手術の適用が推奨されている1)。筆者はミトロファノフ手術施行の際,膀胱に開放切開を加えずに,膀胱外から粘膜下トンネルを形成し,虫垂をこのトンネルを通して膀胱に吻合する方法を行っているが,原法に比して簡便であるので,紹介する。
この方法は,腎移植時の尿管膀胱新吻合術で,Barry2)らが提唱した術式を虫垂膀胱吻合に応用したものである。膀胱前面をよく展開し,遊離虫垂の走行に無理がかからないような膀胱前面右側の位置に,パラレル縦切開を筋層まで3〜4cm離して,2か所加える。この部分で剥離鉗子を用いて.膀胱外に粘膜下トンネルを形成し,虫垂をこれに通す。虫垂末端部は切除し,左側切開部では膀胱粘膜まで切開して,虫垂末梢部と膀胱粘膜を4-0吸収糸で吻合し,さらにこの部を吸収糸で縫合閉鎖する。右下腹部皮膚に,虫垂が屈曲しないように虫垂近位端でストーマを作製し,ストーマより12Frフォーリーカテーテルを膀胱内に留置して手術を終了する(図)。術後数日間は,経尿道的カテーテルを留置してもよいが,ほとんど出血はみないので,通常は必要としない。術後2週目に,膀胱造影をして縫合不全がないことを確認した後,カテーテルを抜去して自己導尿を開始する。
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