増刊号特集 泌尿器科病棟マニュアル—ベッドサイドの検査と処置・私はこうしている
ベッドサイドトラブル対処法—こんなサインを見逃すな
肺塞栓
長谷川 道彦
1
,
藤岡 知昭
1
1岩手医科大学泌尿器科学講座
pp.129-131
発行日 1995年3月30日
Published Date 1995/3/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413901456
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肺塞栓症(pulmonary Embolism)は,院内突然死のうち最も見逃されやすい疾患の一つである。その発生は,米国において年間63万人とされており,本邦でも近年増加傾向にある。本症が発症した場合,その11%は,1時間以内に死亡,また本症による死亡患者の50〜70%は剖検後に初めて肺塞栓と診断されていることより,突然の発生を認めた場合,早期診断,治療が要求される。胸痛,呼吸困難,血痰が古典的三徴とされているが,それ以外にも症状は多彩である。術後呼吸困難が生じた場合,特に深部血栓症の既往を有する症例や危険因子を有する患者では本症を想起する必要があり,肺塞栓を疑った場合,早期に酸素吸入およびヘパリン投与を開始した上で確定診断,血栓溶解療法との段階を踏んだ対処により救命できるものと考える。
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