小さな工夫
小児包茎に対する組織拡張法の応用
相原 正記
1
,
石田 寛友
1
1聖マリアンナ医科大学形成外科
pp.351
発行日 1994年4月20日
Published Date 1994/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413901207
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筆者らの施設は形成外科であるため,小児真性包茎単独の手術を希望して来院することは多くないが,時に形成外科的疾患で当科に入院した患児の両親より包茎の事について相談をうける場合がある。このような場合,全身麻酔で形成外科手術を行った後,ひきついで背面切開術や環状切開術を行うことが一般的であろう。しかし背面切開術は術後に包皮の醜い変形をきたすことが多く,また環状切開術を行うと常に亀頭が露出し患児にとってたいへん大きなコンプレックスになりうる1)。そのため,筆者らは,小児の外陰部の形態を極端に変えないために,最初から手術的治療を行うのではなく,まず組織拡張法を応用した処置を行っているので簡単に述べる。筆者らは市販のTissue Expan—derのかわりに安価でどこにでもある導尿バルーンカテーテルを用いている(図1)。全身麻酔がかかり形成外科手術を行う前に包皮狭窄部に導尿バルーンの中心が当たるように挿入し,バルーンに生理食塩水を用手的に注入(図2),排出を数回繰り返しながら注入量をしだいに増加させ包皮狭窄部の過矯正を行う。この操作により包皮の反転が容易にできるようになる事が多い。術後は包皮嵌頓をおこさないように包皮をもとの状態に戻しておく。退院後は,父親に時々包皮を反転させるように指導している。この方法は手術侵襲もなく,外性器の形態変化もない。
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