Japanese
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特集 前立腺癌の新しい治療法
男性ホルモン完全遮断療法の評価
Complete Androgen Blockade Therapy: Review and Our Experience
秋元 晋
1
,
正井 基之
1
,
島崎 淳
1
Susumu Akimoto
1
,
Motoyuki Masai
1
,
Jun Shimazaki
1
1千葉大学医学部泌尿器科学教室
1Department of Urology, School of Medicine, Chiba University
キーワード:
前立腺腫瘍
,
男性ホルモン完全遮断療法
Keyword:
前立腺腫瘍
,
男性ホルモン完全遮断療法
pp.1009-1014
発行日 1992年12月20日
Published Date 1992/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413900751
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ヒトにおける男性ホルモンの分泌は95%が精巣よりのテストステロンであるが,副腎皮質においてもステロイド生合成の産物としてアンドロステンジオン,デヒドロエピアンドロステロン(DHEA),デヒドロエピアンドロステロン硫酸塩(DHEA-S)があり,これが男性ホルモンの標的臓器においてテストステロンに変換される(図1).抗アンドロゲン剤のあるものは,副腎皮質の17-20デスモラーゼを阻害することによりDHEAやDHEA-Sを半減させる1)とされ,男性ホルモン作用完全遮断療法の有用性の1つの理由と考えられている.前立腺における生理的に活性な男性ホルモンは,ジヒドロテストステロン(DHT)であるが,前立腺内のDHT量の15〜20%は副腎由来とする報告もあり,Gellerによると,両側精巣摘除を行ったものの大半が1ng/ml DHT/g tissue以上のDHTを含むという2).
前立腺癌における男性ホルモン作用完全遮断療法は,1945年にHugginsとScottによる両側副腎摘除に始まるが,これらはすべて短期間に副腎不全にて死亡した.コルチゾールの補充を行っての副腎摘除の成績は,自覚症状の改善は60%に認めるものの,他覚所見の改善は稀であり短期間であるとされた.このため副腎由来の男性ホルモンは,前立腺癌の内分泌療法として考慮されなくなった.
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