日本泌尿器科臨床史・5
高橋明著の二大図譜 その2『泌尿器レントゲン図譜』
友吉 唯夫
1
1滋賀医科大学
pp.716-717
発行日 1991年8月20日
Published Date 1991/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413900424
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泌尿器科領域におけるレントゲン図譜は,画像診断法の進歩にしたがって,わが国でも今までいくつも出版されているが,1350ページ,重さ4.4kgという重厚さにおいて,高橋明著『泌尿器レントゲン図譜』(図1,2)の右に出るものはまだ現れていない.しかもこの本が,極端に物資の乏しかった戦時下の1944年3月15日に出版されたことに驚かざるをえない.南江堂(小立鉦四郎代表)から500部出版され,定価は100円,それに特別行為税5円が加算され計105円であったが,これは当時の平均的給与生活者の1ヵ月分の給料に相当した.
体裁であるが,B5判,まずレントゲン学的撮影法,各種疾患のレントゲン像が総説的に46ページにわたって解説されたのち,レントゲン写真は1ページに1図というぜいたくな割りつけで,計1304図がアート紙に収録されている.造影剤や骨が黒く出る印刷法で,各写真の下には小さい活字で病歴がかなりくわしく記載されているから,あたかも臨床講義に接しているように楽しく通読できるようになっている(図3).
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