交見室
ビデオによる経尿道的前立腺切除術,他
藤田 公生
1
1国立病院医療センター
pp.88-89
発行日 1990年1月20日
Published Date 1990/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413900017
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本誌8月号の「テレビモニターによる経尿道的前立腺切除術」に対するコメントを求められたので,私の考えを述べたい。まずビデオで見ながら手術をする場合,基本的に画像と対象物の位置の間にずれがあり,この感覚のずれを克服する必要がある。そのためにはモニターを患者の頭上など,術者の視野のなかでなるべく同じ方向になるようにする。視野は拡大されており,これは光学レンズ系による拡大ではないので解像が悪く,粗い。動作と視野との間のdissociationの一因はこの拡大率にあり,ちょうど顕微鏡手術を始めた時のようなとまどいを術者にもたらす。これらは訓練によってかなり慣れることができるが,特に瞬間的な判断とすばやい操作を求められる経尿道的前立腺切除術のような場合には,基本的なハンデキャップになる。この点ではモニターを見ながらの切除は,これまでの直視による切除に限りなく近づくことはできても,それを越えることはできない。
しかし,ビデオモニターを利用する最大の利点として考えられるのは,膀胱頸部近くで12時の位置にある膀胱腫瘍やこの付近の前立腺の切除をするときである。この場合は,極端に表現すれば,床上から内視鏡を垂直に,天井に向けて切除しなければならない。
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