増刊号特集 術者からみた局所解剖
Ⅱ 下部尿路系の局所解剖
2.前立腺(精嚢)
経尿道的前立腺切除術
西村 泰司
1
Taiji Nishimura
1
1日本医科大学附属第一病院泌尿器科
pp.113-118
発行日 1997年4月30日
Published Date 1997/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413902041
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動脈
前立腺への動脈は下膀胱動脈から分岐するものと,また症例によっては下膀胱動脈を経由せずに内腸骨動脈の末梢として直接分岐するものからなり,通常,前者が前立腺動脈と呼ばれている。しかし,藤井1)は後者のように固有の枝(図1右側)こそ前立腺動脈と呼ぶべきで,前者は前立腺枝とするのが適切と述べている。図1において右側内腸骨動脈が上殿動脈を分枝したのち,下殿動脈と内陰部動脈との共同幹と臍動脈に分かれていることは左側と同様である。右側が左側と異なるのは,下膀胱動脈からの細枝が前立腺の上外側面中央に入るものの,ほとんどは内陰部動脈の基部から起こり数条に分かれて前立腺後端および上外側面中央に分布している点である。そのほかにこの例では,下腸間膜動脈に由来する上直腸動脈の1枝が前立腺の下外側面前部に入っている。いずれにしても,前立腺に分布する動脈は内腺と尿道に分布する尿道群と,前立腺被膜と外腺に分布する被膜群とに分けることができ2)(図2,3),TURPでは尿道群を基部に近い膀胱頸部で止血するが,各動脈は内腺に入ると扇形に広がっているため,多数の血管を膀胱頸部付近で止血する場合が多い2)。
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