特集 ゲノムアレルギーからの脱却―泌尿器科医がぜひ知っておきたいゲノムの知識
〈泌尿器がんとゲノム(各論)〉
前立腺癌に対するがんゲノム医療
前川 滋克
1
,
小原 航
1
1岩手医科大学 泌尿器科
キーワード:
前立腺癌
,
ゲノム医療
,
BRCA遺伝子
Keyword:
前立腺癌
,
ゲノム医療
,
BRCA遺伝子
pp.672-678
発行日 2024年8月20日
Published Date 2024/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413208197
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▶ポイント
・前立腺癌の発症や進展にはさまざまな遺伝子経路の異常がドライバーとして働いている.
・相同組換え修復(HRR)関連遺伝子であるBRCA2,BRCA1,ATM,およびCDK12の病的変異の有病率は前立腺癌の病期によって異なる.
・PARP阻害薬は,HRR変異(特にBRCA1/2変異)を有する前立腺癌患者の予後を延長する結果が得られているが,主な副作用として貧血や嘔気があり,頻度は低いものの重篤な副作用として肺塞栓に注意が必要である.
・PI3K/Akt経路においてPTENが欠損した症例に対するAkt阻害薬の臨床試験が進行中である.
・免疫チェックポイント阻害薬は,CDK12変異を有する症例に対して奏効例の報告があるものの症例数は限られており,さまざまな臨床試験でも有望な治療効果を示さず,承認を得ているものはない.
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