特集 斜に構えて尿路結石を切る!―必ず遭遇するイレギュラーケースにどう対処するか?
企画にあたって
宮澤 克人
1
1金沢医科大学泌尿器科学講座
pp.183
発行日 2021年3月20日
Published Date 2021/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413207134
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
尿路結石は泌尿器科医にとって日常診療で遭遇する疾患ですが,診断・治療に専門的知識と技術が必要な泌尿器科特有の疾患でもあります.診療ガイドライン(GL)や治療マニュアルが刊行されていますが,その特性上,標準的な見解やレギュラーケースに対する内容が記載されており,実臨床の場で必要な情報が必ずしも網羅されているわけではありません.現在,尿路結石診療ガイドラインが改訂作業中ですが,GL作成マニュアルに従っており,同様の傾向となる可能性がきわめて高いと考えられます.
さて,「斜に構える」の語源は,「剣道で刀を斜めに構える」です.剣道には,上段・中段・下段という構えがあり,“中段”という構えは相手に向かって刀を斜めに延ばした状態であることから,その構えを「斜に構える」と呼ぶようになり,さらに“中段”の構えが試合前にお互いが向き合う際の基本姿勢でもあり,一番「隙」がない構え方であることから,「改まった態度をとる」「身構える」というのが本来の意味だそうです.泌尿器科医にとっての“剣”はメスと内視鏡ではないでしょうか.また,剣道の“斬る”は尿路結石においては「切石術」をイメージさせるのではないでしょうか.
Copyright © 2021, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.