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尿路性器感染症のことは,「よくわからない……」という泌尿器科医の囁きを聞く機会が少なくありません.正直,残念で悲しく思います.ただ,「泌尿器科医は,感染症をわかっていないのに診療している」とまで罵られては,もう我慢なりません.泌尿器科医は,梅毒や淋菌感染症などの性感染症の診療を中心となって行い,尿路感染症の治療に関する多くの臨床研究を行ってきました.そういえば,ちょっと古いのですが,Dr. Frank Hinman, Jr.や,Dr. Thomas Stameyの尿路感染症研究に関する論文を見つけて感激したことを思い出します.いまも泌尿器科では,外来でも院内でも尿路性器感染症を診療する機会は変わりなくありますし,大腸菌や緑膿菌と格闘しながら,診療しています.淋菌に至っては,その耐性化が世界的に重要な問題となっています.そして,淋菌感染症と最前線で戦っているのは,泌尿器科医なのです.やはり泌尿器科医は,感染症診療に精通していなくてはならないのです.
本特集は,泌尿器科医が必ず遭遇する重症の尿路性器感染症に照準を当て,どのように考えるのか,どのように対応するのかを,6名の「感染症をわかっている」泌尿器科医と,感染症診療において指導的立場にある2名の感染症専門医に解説をお願いしました.言うまでもなく,青木洋介先生と堀野哲也先生は,特別に「感染症をよくわかっている」先生方であり,“How to”を学んでほしいと思います.ぜひともじっくりと読んでいただき,「感染症をよくわかった」泌尿器科医として,臨床に立ち向かっていただければと願っています.泌尿器科医はこれからもずっと,感染症に向き合っていかなければならない立場にあることを理解していただけたならば,この特集の目的は達成されます.
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