増刊号特集 泌尿器科診療の最新スタンダード―平成の常識は令和の非常識
尿路・性器の感染症
急性腎盂腎炎
梁 英敏
1
,
重村 克巳
1
,
藤澤 正人
1
1神戸大学大学院医学研究科腎泌尿器科学分野
pp.110-113
発行日 2020年4月5日
Published Date 2020/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413206869
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以前の常識
・ESBL産生菌やキノロン耐性菌の報告はなく(もしくは少なく),院内感染についての意識もまだまだ低かった.
・原因菌のバリエーションは比較的少なく,empirical therapyが奏効するケースが多かった.尿培養のみで原因菌を判断するケースも多く,発熱時の血液培養の採取は必ずしもルーチンではなかった.
・ドレナージによる感染コントロールの意識が低く,内科医による泌尿器科コンサルトが初期抗菌薬無効を確認してから行われたため,重症化するケースが散見された.
現在の常識
・ESBL産生菌やキノロン耐性菌の急速な増加により,院内感染予防策の実施およびESBL産生菌,キノロン耐性菌を想定した初期抗菌薬の設定も重要視されている.
・原因菌の複雑化が進行し,血液培養のみならず腎盂尿など局所の尿培養の結果も組み合わせ,複数の抗菌薬の使用も想定した柔軟な治療が要求されている.
・感染初期のドレナージが治療計画全体に大きな影響を与えることが周知され,泌尿器科コンサルトへのハードルが大きく下がっている.
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