文献抄録
急性腎盂腎炎のIP像について
pp.39
発行日 1975年1月20日
Published Date 1975/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413201900
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尿路感染時にしばしば見られる急性腎盂腎炎のIP像の変化とその経過については,従来文献的に報告は少ない。一般に急性腎盂腎炎と診断されると,検査はその誘因となる尿管狭窄,結石の有無,感染原因の追究が主眼となるので,この際の腎盂像は等閉視されることが多い。そこで著者はこの問題について文献酌に考察すると共に経験症例の腎盂像について紹介している。著者の症例1は31歳女性で,右脊部痛が2日間続き発熱悪感,嘔吐などを主訴に入院。右季肋部に強い圧痛があり,尿は膿尿で培養で105以上の大腸菌陽性で急性腎盂腎炎と診断された。
この患者については2年前にIPが施行されており,今回のIP像と比較すると,左腎には2回のIP像に変化は認められないが,右腎では腎の腫大(長径で2.5cm,横径で1.0cm)と上極腎像の不鮮明化,上極皮質部の肥厚化が著明に認められた。患者はゲンタマイシン静注3日施行したが,症状軽快しないため開腹して腎をみたところ,上極に限局して腫脹部があり,一部壊死化していたのでこの部を含めて半腎摘除術をした。組織学的には膿瘍を含む急性腎盂腎炎所見であつた。その他の症例は6歳女児と52歳女性の急性腎孟腎炎例であるが,いずれも急性炎の時期と化学療法施行後症状消褪時のIP像を比較して,腎盂腎炎側の腎腫大と腎盂腎杯像の不鮮明化と圧追像などが認められている。
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