特集 停留精巣のすべて─小児から成人への架け橋
企画にあたって
林 祐太郎
1
1名古屋市立大学大学院医学研究科小児泌尿器科学分野
pp.768-769
発行日 2018年9月20日
Published Date 2018/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413206376
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小学生の頃,股間を蹴られると男子は“のたうち回る”ほど痛いのに,女子は大して痛がらないのを見て,人間の身体は不公平にできているなと思いました.当時は金曜日の夜8時からTVでプロレスをやっていました.優勢に攻め続けていたガッチリした体格のレスラーが,悪役レスラーに股間を蹴られた(金的)だけでうずくまってしまい防戦一方になるのがお約束でした.子ども同士のプロレスごっこで一番の決め技は雷電ドロップと玉蹴りでした.不思議なのは局所の痛みよりも腹痛が強いことでした.
それから50年経った今,プロレス少年は小児泌尿器科外来を開いています.その診察室で停留精巣の説明をするときには,「胎児期にお腹にある精巣が,血管や精管だけでなく神経も引き連れて陰囊に降りてきます.だから蹴られると神経の出所のお腹が痛くなるのです」と説明しています.患児の父親からは「やっと謎が解けました!」と信頼を得ていますが,神経学的な研究をしたわけではないので本当のところは解りません.ガマの油売りみたいだと自分自身にあきれています.
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