交見室
陰囊内のしこり(痼)の正体は?
勝岡 洋治
1
Yoji Katsuoka
1
1医療法人熊谷総合病院
pp.662
発行日 2018年7月20日
Published Date 2018/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413206343
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昨年8月,中高年の男性患者が陰囊内の「しこり」を主訴に受診したところ,左精巣上体炎の診断で初診医により抗菌剤が投与された.しかし,「しこり」の存在に一切変化がなく,治療効果が認められないので,抗菌剤を飲み続ける必要があるのか,また何か悪いものではないかとの疑問を抱き,予約外で私の外来を受診した.
触診では,左精巣上体頭部に小指頭大に腫大した平滑で充実性・弾力性を有する腫瘤を認め,圧痛軽度,ペンライトにより透光性を認め,超音波検査で当該部の囊胞性所見を確認した.精液瘤と判断し,穿刺を行い,約2mLの混濁した水様液を採取した.検鏡では精子の存在は認めず,白血球が多数見られた.この患者には,精子が見られないが,感染を伴った精液瘤であり,当面手術の必要はなく,再発時には穿刺吸引で対応すればよいと説明した.
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