増刊号特集 泌尿器科処方のすべて─すぐに使える実践ガイド
11 併存疾患
内分泌・代謝系
甲状腺機能低下症
吉村 弘
1
1伊藤病院内科
pp.301-303
発行日 2016年4月5日
Published Date 2016/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413205666
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疾患の概要
甲状腺でのサイロキシン(T4)とトリヨウ素サイロニン(T3)の合成,分泌が低下することによる甲状腺機能異常症である.甲状腺そのものに原因がある場合は,原発性甲状腺機能低下症で甲状腺刺激ホルモン(TSH)が増加する.原発性の原因としては,橋本病,医原性(甲状腺摘除術,Basedow病に対する131I内用療法)がほとんどであるが,甲状腺ホルモン合成遺伝子異常,本邦ではまれであるが無機ヨウ素欠乏症によるものなどがある.甲状腺機能低下症のなかで,FT4が基準値内でTSHのみ高値のものを潜在性甲状腺機能低下症と定義されている.TSHは個人の甲状腺機能を鋭敏に反映しており,FT4が基準値内であってもその患者にとってFT4がやや低くなっていることを示している.頻度は少ないが,下垂体や視床下部に異常があり,active TSHが減少することにより甲状腺機能が低下するのが中枢性甲状腺機能低下症である.
いずれも甲状腺ホルモンの減少の程度により,症状をほとんど認めないものから,全身浮腫,全身倦怠感,皮膚乾燥,嗄声などの症状を認めるもの,さらに低体温,低換気,循環不全により中枢神経系の機能障害を来す粘液水腫性昏睡に至るものまである.
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