増刊号特集 泌尿器科処方のすべて─すぐに使える実践ガイド
9 腫瘍
標準治療
副腎皮質癌
西本 紘嗣郎
1,3
,
北村 陽典
1
,
池田 隆
2
1立川病院泌尿器科
2立川病院薬剤科
3埼玉医科大学国際医療センター泌尿器腫瘍科
pp.164-166
発行日 2016年4月5日
Published Date 2016/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413205629
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疾患の概要
副腎皮質癌(adrenocortical carcinoma : ACC)は,年間100万人中約1〜2人に検出される比較的まれな疾患である.好発年齢は1〜6歳までの乳幼児期と40〜60歳の中年期であるが,本稿では成人ACCについてのみ概説する.
ACCの約半数は,コルチゾールやアンドロゲンなどの副腎皮質ホルモンを過剰産生する.ACCの分類には,European Network for the Study of Adrenal Tumor(ENSAT)分類(Stage 1〜4)が頻用される.ENSAT Stage 1〔TNM分類 : T1(≤ 5cm),N0, M0〕とStage 2〔T2(>5cm),N0, M0〕は副腎限局癌,Stage 3は周囲組織や隣接臓器への浸潤癌(T3〜4, N0, M0)あるいは所属リンパ節転移癌(T1〜2, N1, M0),Stage 4は遠隔転移を伴う癌(T1〜4, N0〜1, M1)である.外科的切除は,Stage 1〜2のACCに限らずStage 3〜4のACCにも適応となる.摘出された組織の病理診断にはWeissの診断基準が用いられ,なかでも増殖マーカーであるKi67免疫染色の標識率は,Stage 1〜2のACCの術後補助療法の適応の判断に使用される.近年,放射線外照射はACC術後の残存腫瘍やStage 4のACCの緩和治療に有効であることが判明してきている.以上のように,ACCに対する治療は,外科的治療,薬物治療,放射線治療などの組み合わせにより行うことが重要である.
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