文献抄録
膀胱癌治療後の上部尿路癌の発生について
pp.805
発行日 1989年9月20日
Published Date 1989/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413205066
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膀胱癌治療後に上部尿路の尿管腎盂に発生する癌の頻度については,長期の経過を観察する必要があり,報告は少ないが,一般には0.5〜1.5%程度といわれている。著者らは1950〜1975月の16年間に754例の膀胱癌を治療したが,このうち同時に上部尿路癌を併発していたり,上部尿路癌の有無を死後の剖検で確認し得なかった97例を除いて,657例について長期の追跡結果を報告している。657名は男性493名,女性164名,男女比3:1である。
経過観察中の検査としては,年に3〜4回の内視鏡,尿の細胞診,IVP検査を行った。観察の期間は10年以上にわたり,患者が死亡した場合は剖検して上部尿路癌の有無を検索した。この期間中に死亡した者は509名(77%)で,死亡の原因が膀胱癌であったのは259名(51%),癌に併発した疾患での死亡は250名(49%)であった。657名中上部尿路に癌が確認されたのは11名(男7名,女4名)である。膀胱癌の治療後に上部尿路癌の発見までの期間は10カ月から13年である。初診時の膀胱癌は単発性は6名で,多発性は5名である。膀胱癌の治療は,膀胱摘出1名,放射線照射2名,部分切除8名(尿管再吻合3名)である。
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