小さな工夫
後腹膜リンパ節郭清における経胸膜外後腹膜的到達経路の工夫
藤岡 知昭
1
,
工藤 卓次
1
,
鈴木 薫
1
1岩手医科大学泌尿器科学教室
pp.752
発行日 1988年8月20日
Published Date 1988/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413204819
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著者らは,Scardinoが紹介した経胸後腹膜的到達路による後腹膜リンパ節郭清を,その良好な術野および経腹的操作に起因する術後イレウス等を回避できる点より採用しているが,この術式において胸部合併症の可能性を否定できない。一方,deKernionは腎癌に対し,肋骨上到達法による胸膜外根治的腎摘除術を推奨している。この術式を前述の方法に併用することにより,後腹膜リンパ節郭清を経胸膜外後腹膜的到達経路で施行出来たので報告する。術式の要点は以下のごとくである。
全麻下に,患側を上にした半側臥位とする。11肋骨に沿った皮膚切開を中腋下線より腹部に向かっておき,さらに傍正中切開とし臍下にまで延長する。11肋骨先端部上縁で肋間筋を切開し,横隔膜と胸膜の間に挿入した指で胸膜を上方に圧排保護しながら,この肋骨上縁の切開を肋骨起始部に伸ばす(第1図)。横隔膜を11番肋骨後面より剥離し,前に切開した肋間筋と縫合し胸膜を覆う(第2図)。
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