文献抄録
膀胱全摘に伴う骨盤内リンパ節転移について
pp.411
発行日 1987年5月20日
Published Date 1987/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413204490
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膀胱全摘時の骨盤内リンパ節郭清では,多くの場合肉眼的にはまつたく正常と見えるリンパ節が大部分である。しかし,正常と思えるリンパ節でも病理学的には転移陽性のこともある。著者らは130例の膀胱癌による全摘者のリンパ節転移の動態について,その転移出現の頻度,転移陽性リンパ節の部位と大きさ,そして節内転移巣の大きさなどについて報告している。
検索症例は,著者らの病院で1983年3月から1985年10月の間に実施された210例の膀胱全摘例のうち,全摘以前に放射線治療や化学療法の行われていない130例についての報告である。リンパ節の郭清範囲は,上方はcommon iliac art.の分枝部まで,下方はobturator foramen,pelvic floor,側方はgenitofemoralnerves,内方はhypogastric art.の範囲を行つた。各例の切除リンパ節については,すべてその大きさ,節内転移巣の広さについて病理学的検討を行つた。結果についてみると,転移陽性の頻度は,130例中18例(14%)に転移が確認された。癌のstage別にみると,stage 0,Aの27例ではまつたく転移はみられず,stage Bの62例では8例(13%)に
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