Japanese
English
綜説
逆流性腎症
Reflux Nephropathy
生駒 文彦
1
,
有馬 正明
1
,
島田 憲次
1
Fumihiko Ikoma
1
1兵庫医科大学泌尿器科学教室
1Department of Urology, Hyogo College of Medicine, Medical School
pp.773-789
発行日 1986年10月20日
Published Date 1986/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413204349
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逆流性腎症(Reflux Nephropathy)とは,VUR(Vesicoureteral Reflux:膀胱尿管逆流現象)による,あるいはVURに随伴する腎実質の瘢痕・萎縮,すなわち腎杯の鈍化・棍棒状化とそれに対応する腎実質のひ薄・陥凹(chronic atrophic,focalor diffuse,pyelonephritic scarring)の存在を意味し,Bailey(1973)によつてはじめて提唱された病名である。この病名は病因と病態の両者を同時に示すものであるが,とくにVURがこの病態の本質的病因であることを強調しているものである。
VURによつて尿,とくに細菌尿が腎杯乳頭部,集合管,遠位尿細管,さらには髄質間質内に侵入すると腎盂腎炎が発生するが,この腎盂腎炎が新生児・乳児の時期に発症したり,VURが長く存続すると腎盂腎炎は慢性化して,炎症が髄質のみならず,さらに,皮質にも及び,皮質の瘢痕・萎縮が発生する。これが逆流性腎症である(第1図)。
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