交見室
女性尿道癌の治療について/3次救急での腎外傷をめぐる諸問題
河合 恒雄
1
,
鈴木 信行
2
1癌研究会付属病院泌尿器科
2福島県立医科大学泌尿器科学教室
pp.256-257
発行日 1986年3月20日
Published Date 1986/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413204245
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臨床泌尿器科40巻1号51頁に掲載された近藤直弥氏らの「女性尿道癌の治療成績」を興味深く拝読させて頂きました。しつかりした骨子と当を得た考察でここに示された女性尿道癌の治療方針に全面的に賛成です。何も付け加えることはありませんが,何か意見をということなので,以前女性尿道癌の成績を纒めた経験(武田 尚,河合恒雄:日泌尿会誌,71;480-488,1980)から,今後の女性尿道癌の治療方針の方向付けを少し考えてみたいと思います。
女性尿道癌は稀な疾患である上に,組織型が扁平上皮癌,腺癌,移行上皮癌,基底細胞癌など多岐にわたり,組織型別病期別の治療方法を確立するのが困難である。さらにTNM分類にも1974年版ではGyne-cological sitesに記載されていたが,1978年版のTNM分類では尿道癌の項目は姿を消している。現在はGrabstald (JAMA,1966)の病期分類が広く引用されている。biopsyの所見によりGrabstaldの病期分類に従つて,最終的に治療方針をたてるのが最良の方法であろう。近藤論文とわれわれの症例との相違点はTNMで分類した時にみられる。どちらも症例数が少ないから食い違いがでたのであろうが,近藤論文では前部尿道に浸潤癌が多く予後が悪いが,後部尿道癌の予後がよい。
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