Japanese
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綜説
術後感染予防について
Prophylaxis Against Postoperative Surgical Infection
黒川 一男
1
,
香川 征
1
,
上間 健造
1
Kazuo Kurokawa
1
1徳島大学医学部泌尿器科学教室
1Department of Urology, Tokushima University School of Medicine
pp.95-104
発行日 1985年2月20日
Published Date 1985/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413203969
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はじめに
術後感染予防として化学療法剤が使用されるようになつてからは,明らかに術後感染率は低下している。しかし,いまなお無菌手術の創感染といえども100%防止することは不可能である。第72回日本泌尿器科学会総会において「術後感染予防対策の再検討」のシンポジウムが開かれ,多くの問題点が討議された。そのうちの1つとして欧米では術後抗生剤の予防投与は原則として行わないのに対し,日本でのそれはわずか1%であつたと報告された。これは医療制度の問題も含め多くの問題を提起している。
この問題とは別に近年術後感染は過去におけるそれとは種々の点で複雑化している。その理由として第1図に示したごとく多くの要因があいまつているためであり,医療技術の進歩とともに外科手術適応の拡大,抗癌剤,ステロイド,放射線療法,免疫抑制剤などによる治療の拡大,各種機器の多用,強力な抗菌剤の投与に対する耐性菌の出現,抗菌剤耐性の弱毒菌による感染,抗菌性物質の過信による術前,術中,術後を通じての清潔観念の欠如などがあげられる。
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