文献抄録
β-HCG値上昇の睾丸精上皮腫の治療について
pp.327
発行日 1984年4月20日
Published Date 1984/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413203788
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最近の報告によると睾丸精上皮腫で血清β-HCG上昇例は,組織学的に精上皮腫と異なる腫瘍要素を持つので,その予後は純精上皮腫よりも悪く,除睾丸後には放射線治療よりも後腹膜リンパ節清掃をすべきであるとの報告がある。著者らはこの点を検討する目的で,55例の精上皮腫について,除睾術と従来通りの放射線治療を行つて,治療前後のβ-HCG値の変動とその予後について観察し報告している。
55例はstage Ⅰ 44例,stageⅡA11例のlow stage症例である。stageⅠでは42%の例に,stageⅡAでは36%の例に放射線照射前にβ-HCG値の上昇があつた。β-HCG値の上昇範囲はstageⅠ群では4〜400mIU/ml,stageⅡA群では4〜19mIU/mlであつた。なお著者らのβ-HCG測定法はVaitkaibらの免疫学的方法によつたもので,正常値は<3.0mIU/mlである。β-HCG値の追跡は照射終了後は3カ月に1回測定し,12カ月以上の値の変動を観察した。放射線の照射法としてはstageⅠでは患側の鼠径部,旁腸骨動脈,旁大動脈部に2,500radsを3週間で照射し,stageⅡAではリンパ管撮影の所見を参考に照射野をしぼつて更に1,000〜1,500radsならびに左鎖骨窩と縦隔洞に2,500radsを3週間で追加照射した。
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