文献抄録
ヒト白血球のα-Interferoneによる腎細胞癌治験
pp.215
発行日 1984年3月20日
Published Date 1984/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413203765
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腎細胞癌は診断確定時に既に30%の症例は転移があるといわれ,腎の根治的摘出後も局所の再発や遠隔部位転移形成は50%に発生する。そして転移巣の治療には抗癌剤やプロゲステロンの投与,免疫学的治療などが施行されるが,その効果はほとんど期待できない。
インターフェロンは人体や脊椎動物細胞から産生される糖蛋白質で,抗ウイルス,抗腫瘍作用があり,臨床的にも多発性脊髄腫,リンパ管腫,肺癌を含む各種悪性腫瘍に腫瘍の縮小効果が認められている。そこで著者らはヒト白血球α-Interferoneによる腎細胞癌のphaseⅡ治験について述べている。治療は患者の了解を得た上で,3×106単位のα-Interferoneを週5日間毎日筋注し最小3週間継続する。効果が現われなければ更に延長して12週まで継続する。症例は43例で,男性30例,女性13例。年齢は21歳から80歳まで。転移部位は肺野20例,肺と他組織15例,後腹膜2例である。本剤投与以前にうけた治療は抗癌剤8例,ホルモン剤4例,免疫療法1例であるが,何れの治療も無効であつた。
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