手術手技
追加発言 1
丸田 浩
1
Hiroshi Maruta
1
1札幌医科大学泌尿器科学教室
pp.119-120
発行日 1984年2月20日
Published Date 1984/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413203743
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男子不妊症はその原因が多岐にわたつていることもあり,治療効果がなかなかあがらないのが現状である。われわれの教室でも特発性男子不妊症で内分泌療法あるいは非内分泌療法の治療効果を判定できた98例について検討すると,精子数の増加を認めたのは25例(25.5%),本症治療の最終目的である妊娠にいたつた症例は13例(13.3%)と十分満足のいくものでなかつた。一方,精索静脈瘤は男子不妊症の原因として明らかになつている数少ないものの1つであり,治療として精索静脈瘤切除術を施行すると,精液所見が改善し妊娠率が高まることについては既に多くの報告がある。Dubin(1975)1)は精索静脈瘤切除術後の妊娠率を55%と,Saypol(1981)2)は多くの報告をまとめ,20〜55%の妊娠率であつたと述べている。したがつて,精索静脈瘤を有する不妊男子例に外科的治療を加えることについては,現在のところ論議の余地はないものと考える。
精索静脈瘤切除術の術式については,鼠径管を開いて内精静脈を結紮するAmelar-Dubin1)の方法と,鼠径管は開かず内鼠径輪より高位で後腹膜腔に入り内精静脈を結紮する高位結紮法(extra-peritoneal approach)が現在多く行われている。著者は後者の方法を用いており,その手技は守殿論文と大差ない。
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