文献抄録
CTによる腎損傷診断の評価
pp.23
発行日 1983年1月20日
Published Date 1983/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413203492
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従来腎損傷の診断ではIVPと断層撮影が行われているが,診断の正確さの評価は60〜85%と言われ,これで不十分な時には血管撮影も試みられるが,時間もかかり患者への侵襲も大きい。この点CTによる診断は侵襲も少なく,正確度も高い点について著者らの経験を報告している。
著者らは,腎損傷が大きいと思われる24症例にCT診断を行つたが,21例は皮下損傷で,3例は開放性損傷例であつた。CT診断は損傷後6時間以内に造影剤を注入してスキャンした。24例の損傷度の内訳は,皮下損傷では皮質の小断裂11例,造影剤の腎外溢流を認める中等度断裂4例,高度の腎断裂6例であり,開放性損傷は中等度断裂2例,高度損傷1例であつた。これらの症例の診断についてCTとIVP所見を比較してみると,造影剤溢流を伴う高度損傷7例はCTでいずれも正確な診断を得たが,IVPと断層撮影では損傷程度の判読は不明確で,造影剤溢流は7例中2例のみに判読し得た。全体の24症例の診断について,IVPと断層撮影の所見では腎損傷部位,程度の造影が不十分で,腎輪郭が不明のものがほとんどであつた。CTでは損傷の部位,程度をいずれも正確に判読し得た。
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