手術手技
追加発言・2
星野 嘉伸
1
Yoshinobu Hoshino
1
1都立府中病院泌尿器科
pp.1107-1108
発行日 1982年12月20日
Published Date 1982/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413203470
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われわれの行つている尿管結腸吻合術は,尿管をS状結腸から直腸へ移行するあたり,可能な場合には直腸に吻合するようにしている。これは尿管の吻合部が結腸の高い位置にあると,尿が腸管内を流下して肛門から排泄されるまでに腸粘膜と接触している面積や時間が大きくなるが,吻合部が肛門近くにあると,多量の尿が貯溜した場合には下行結腸までも逆流することはあるが,直腸内に貯溜した尿が単に腸粘膜に接しているだけとなり,前者の場合のように尿が粘膜と接触しつつ流れてくる場合とでは尿成分の吸収などに関して条件が異なるのではないかと考えたためである。その上,早く尿意を感じるため頻回に排尿するようになり,また貯溜した尿が上方の結腸へ逆流しないうちに排尿するため残尿も少なくなることから,水分摂取を十分にして尿量さえ適当に保たれていれば電解質平衡の維持はより容易になるのではないかと考えた。
その結果は既に報告してあるが1),低カリウム血症はほとんど問題にならず,高塩素性酸血症も水腎症など腎に異常のみられない症例ではその傾向も軽度で,補正のための重曹などの投与は行つていない症例もあり,投与量の多い例でも1日6.0gの重曹でほぼ正常化されているようである。
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