交見室
子宮全摘後の神経因性膀胱の尿失禁,他
黒田 一秀
pp.702-704
発行日 1980年7月20日
Published Date 1980/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413202992
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本誌33巻12号掲載の斉藤氏ら表題論文を中心として,本欄で宮崎,近藤,今林諸氏と斉藤氏との御交見を興味深く拝読した。斉藤氏から小生にも用語問題について意見を求められましたので,とりあえず愚見をのべます。
神経因性膀胱の用語一般について,成書に使用されているものに限つても,著者ごとの便宜上の名称が多様な使われかたをしていて統一がないことは,下部尿路ウロダイナミックの基礎的臨床的研究が重視され論文が増加するにつれ,ますます痛感されるようになつて来た。この点1974年International Continence So—ciety〔ICS〕がMainzの集りで最初の用語基準を決めている。わが国の神経因性膀胱研究会(神奈川リハビリテーション・センター泌尿器科,事務局長宮崎一興氏)でもようやく用語委員会を発足させたところである。どんな内容で症状,検査所見,病型などを定義するかが課題なわけであるが,下部尿路の機能が貯尿,排尿,コンチネンス(禁制という邦語もなじみにくい)という単純な現象でありながら複雑な因子によつて営まれているものであるから失禁一つをとつても,患者自身の表現であるSymptomとしてはもちろん,医者の観察徴候としても,また特定の病型として述べられても,その内包することが多いので,一,二の検査法だけから云々することはできなくなつてきた。今林氏のいわれる通りである。
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