交見室
尿道脱の手術について,他
豊田 泰
1
1都立広尾病院泌尿器科
pp.92-93
発行日 1980年1月20日
Published Date 1980/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413202892
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本誌33巻12号に掲載された外来小手術のコツ「尿道脱の手術」について私見を少しくつけ加えたい。私の経験はわずかに6例にすぎないが,最後の方の2症例に行なつたFritschの結紮法が非常に簡単で好結果を得た。そこで尿道脱に対してはこの方法をすすめたいのである。執筆者の中に,瘢痕狭窄を生ずるおそれがあるのであまり用いられないという見解と最も一般的であるという考えとがあり,始めて試みようとする人は気になるであろう。
Fritsch法と称せられるものは非常に古くからある方法で,Owensら(1968)の42例では失敗例は結紮不完全であつた3例のみで,わが国でも井出ら(1962)4例,堀米ら(1969)8例,新井ら(1976)7例などの報告があり,いずれもこの方法を推奨している。一般に尿道狭窄を来すのは激しい炎症が尿道の筋層に及んだ場合であろう。しかし,結紮法にともなう炎症は切除によるそれよりもはるかに軽いと思う。尿道脱といつても脱出してくるのは粘膜のみなのであるから,もし狭窄が起こつても簡単にブジー法で治癒し得るのではないか。
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