交見室
片腎性obstructive nephropathyの水再吸収能について,他
仁藤 博
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1武蔵野赤十字病院泌尿器科
pp.928-929
発行日 1979年9月20日
Published Date 1979/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413202822
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臨泌33巻7号,馬場氏らの「腎機能検査としてのDYE DENSITY TEST」の第3図(血清クレアチニン値とdye density incrementとの疾患別関係)を興味深く拝見しました。この図で,「血清クレアチニン値が正常値に近づくにつれて原疾患が片腎性の場合には慢性両腎性疾患例より高いdye densityを呈した」とあり,この原因として「片腎性疾患群に尿管結石症例が多く含まれており,患側腎のobstructive nephropa-thyによる水再吸収能の亢進が関与したか,あるいは反対側健腎の代償性機能亢進が原因となつているものと考えられる」と推論されています。私は,患側腎のobstructive nephropathyに水再吸収の亢進はない,と考えます。実験的急性期のobstructive nephropathyというような特殊な条件以外では,水再吸収抑制がobstructive nephropathyの特徴であります。 したがつて理論的に脱水時の尿比重は,正常腎>片側obst-ructive nephropathy>両側疾患腎となります。ただ実際上は,患側からの尿量が極めて少ないため,正常腎≧片側obstructive nephropathyとなることは,よく経験されるところです。第3図はまさしくこの事を表現しているのではないかと思います。
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