文献抄録
陰茎癌に対する陰茎海綿体撮影の意義
pp.27
発行日 1979年1月20日
Published Date 1979/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413202673
- 有料閲覧
- 文献概要
一般に陰茎癌の浸潤度はⅠ〜Ⅳ度に分けて臨床的治療を考えている。I度は癌が亀頭または包皮に限局しているもの,Ⅱ度は癌が陰茎海綿体に波及しているが臨床的には転移の明らかでないもの,Ⅲ度はリンパ節転移の明らかに認められるもの,Ⅳ度はリンパ節のみならず遠隔転移もあり根治的手術の不可能なもの,以上の分類は陰茎癌治療上極めて重要であるが,臨床的に頻度の高いⅠ,Ⅱ度の鑑別は従来癌の浸潤を陰茎の硬結触知の有無によつて海綿体浸潤を判定することが多い。癌がBack Fasciaをこえて海綿体浸潤を来すとリンパ節転移の発生頻度も急増するので,Ⅰ〜Ⅱ度の浸潤判定は臨床治療上極めて重要な問題である。触診による浸潤判定では,Ⅰ度と診断されたもののうち22%が実際にはⅡ度であつたとFegen(1973)も報告している。そこで著者は陰茎海綿体撮影を行なつて,癌の海綿体浸潤判定の価値を検討した。
陰茎海綿体撮影法は,陰茎根部を1%lidocaineにて麻酔し,一側の海綿体に65%diatrizoate 20mlを注射する。X線casseteを陰茎下において撮影する。著者の対象とした症例は10例で,うち4例は触診でも海綿体撮影でも,ともにⅠ度と判定された。
Copyright © 1979, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.