Urological Letter
複雑な診断様式によつて起こつた診断の混乱/根治的腎摘術についての一つの考え
pp.35,46
発行日 1978年1月20日
Published Date 1978/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413202482
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55歳の男子,血尿が1回あり,排尿困難もいくらかあつたことがあるという。他所で撮つたIVPのフィルムを持つて診察を受けにきた。既往歴によると15年前に虫垂切除を受けている。その他に特記すべきことはない。
理学的検査では,中等度に肥満しており,病人らしくは見えない。両方の腎は触れもしないし,圧痛もない。虫垂切除の際のスカーがあつた。前立腺は中等度に肥大しているが柔かだつた。血圧をも含めて他の所見は正常。諸々の検査室の成績もすべて正常範囲内であつた。IVPでは両側腎に腫瘤がある。しかし腎盂腎杯に変形はない。左腎には典型的な腎盂周囲チストがみられた。右腎X線像には下極から突出している2つの滑らかな腫瘤がみえた。超音波診断が行なわれたが,両側腎チストと報告してきた。膀胱鏡でみたところ前立腺右葉に当るところに小出血のあることがわかつた。そこで20瓦TURで切除した。術後経過も順調であつた。
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