交見室
尿失禁の薬物療法,他
小柳 知彦
1
1北海道大学医学部泌尿器科
pp.1070
発行日 1976年12月20日
Published Date 1976/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413202278
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尿失禁の薬物療法は尿道における交感神経系の役割が解明されるに伴い(小柳,辻:青森県病医誌投稿中)次第に有効な方法となりつつある。われわれも単純性(急迫性)尿失禁,神経因性膀胱患者の尿失禁のいずれにもα作用を有するエホテール投与にて著効を得ている。ところが,頭痛,高血圧などの副作用を見るために投薬を中止せざるを得ぬことが時にある。L-dopaの代謝物がα作用を有するためにこれにて治療中のパーキンソン病患者に排尿困難が出現しやすいことが報告されたが(Murdock, M.I.et al.:J.Urol.,113:803,1975),これを逆説的に利用して尿失禁治療に前記の副作用を欠くL-dopaを試用したところ単純性尿失禁では無効,神経因性膀胱の尿失禁では著効という結果であつた。
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