Urological Letter・185
逆行性射精と妊娠
pp.421
発行日 1976年5月20日
Published Date 1976/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413202159
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逆行性射精のために不妊だつた患者が2人,昨年中に妊娠に成功した。1人は睾丸腫瘍の手術を受けた29歳の男で,後腹膜腔のリンパ節廓清をされた後から逆行性射精が起こるようになつた。この例では妻の排卵期中の性交に際し,その1〜2時間前に硫酸エフェドリン50mgを服用させたところ前方射精ができるようになつた。そのうえ精子の運動性を亢めるためにテストステロンをも少量のませた。2〜3ヵ月後に彼の妻はめでたく妊娠し,健康な女児を分娩することができた。
第2の患者は医師で,先天的に膀胱頸部が広く開いていた。この例ではエフェドリンも,そして後にはDime-tane(Dexbrompheniramine Maleateの商品名)をも使つてみたが,逆行性射精は治らなかつた。重曹の分量をいろいろに変えて与えて尿をアルカリ化してみた。尿中に逆行性射精された精子の運動をみて,それが良好なときに,その尿を遠心沈澱し,その沈渣で3回人工受精を行なつた。ところがその妻はそのあと受胎に成功し,目下順調に妊娠中である。
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