小さな工夫
尿潜血反応試験紙を用いた逆行性射精発見の工夫
原 啓
1
,
三浦 一陽
1
1東邦大学医学部泌尿器科学教室
pp.352
発行日 1991年4月20日
Published Date 1991/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413900303
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尿潜血反応試験紙の反応原理はヘモグロビンのペルオキシダーゼ様作用を利用しており,赤血球に特異的に反応するものではない.したがって,ペルオキシダーゼ様作用を持つ物質であれば赤血球が存在しなくても反応することになる.すでに我々は精液に本試験紙が強陽性に反応することを報告1)している.その後の検討で精子には関係なく,精漿に反応していることがわかった.そこで本反応を利用した簡便な検査を報告するとともに,尿潜血反応試験紙の問題点を提起する.
さて逆行性射精の多くは,オルガスムスはあるが射精がない,いわゆる乾性射精と呼ばれているもので,男性不妊症の診断として重要である.本疾患の診断はマスタベーション後の尿の遠沈により精子の有無を判定することにより行われているが,放射線照射や化学療法剤の投与などによる無精子症の場合には簡単に診断がつかず,尿中果糖やアミノ酸分析等で判断されているのが現状である.そこで尿中に赤血球のないことを確認した患者のマスタベージョン後の尿に本試験紙を浸し,強陽性であれば精液が混入していることが簡単にわかり,かつ経済的である.
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