Japanese
English
綜説
副腎腫瘍の局在診断
Diagnosis for Location of Adrenal Tumour
福地 総逸
1
Soitsu Fukuchi
1
1福島県立医科大学第三内科学教室
1Dcpartment of Internal Medicine, Fukushima Medical College
pp.367-375
発行日 1976年5月20日
Published Date 1976/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413202148
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
緒言
副腎疾患を正確に診断し,さらにその副腎病変が過形成によるものか,または腫瘍によるものかを知ることは,最近のホルモン測定法の進歩によりそれ程困難ではなくなつた。たとえば,原発性アルドステロン症の診断は最近まで極めて困難な場合もみられたが,血漿レニン活性と血漿アルドステロン含量の測定にradioimmunoassayが応用されて,現在はroutineにも診断可能となつた。このように各種副腎疾患の診断が確実に行なえるようになると,当然腫瘍が左右副腎のいずれに存在するかを術前に正確に予知することが要求されるに至つた。副腎腫瘍の大部分は生物学的活性を有するホルモンの作用により,各種の代謝異常を来すので,腫瘍の摘出によりこれらの代謝異常も好転する。副腎手術の術者にとつて,副腎手術施行前に副腎腫瘍の局在を確認しておけば自信をもつて執刀することが可能となる。この目的のために各種の診断法が試みられている。すなわち,最近までは後腹膜腔気体注入法や副腎静脈撮影によるX線検査法が行なわれていたが,これら2法では必ずしもすべての症例において腫瘍の局在を診断できるわけではなかつた。すなわち褐色細胞腫やクッシング症候群のごとく腫瘍の大きい場合には,これら2法で十分に腫瘍の局在を診断しうるが,原発性アルドステロン症のごとく腫瘍が小さい場合(直径2cm以下が大部分といわれている)にはこれら2法では不十分である。
Copyright © 1976, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.