臨時増刊特集 診断基準とその使い方
XII.癌
副腎腫瘍
清水 直容
1
1帝京大第1内科
pp.2232-2233
発行日 1977年12月5日
Published Date 1977/12/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207647
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概念
副腎から発生する腫瘍には,皮質腫瘍と髄質腫瘍があり,また生物学的活性ホルモンの過剰分泌の有無により,機能性と非機能性に分けられる.内科的にとくに重要なのは機能的な副腎腫瘍であるが,それについてはクッシング症候群,原発性アルドステロン症,副腎性器症候群,褐色細胞腫の項で述べられる.
このほかに,副腎腫瘍としては,他の臓器癌よりの転移性腫瘍および副腎の構成組織より発生するneurilemmoma,fibrorna,myoma,lipoma,haemangioma,lymphangiomaなどがある.さらに原発性の悪性黒色腫の報告もある.また副腎のホルモン産生細胞の腺腫であるが,非機能性のものも少なくない.高血圧症では,小さな非機能性皮質腺腫が多発することが珍しくなく,これらは臨床的意義をほとんど有しない.同じく非機能性腫瘍でも大きい場合には周囲への圧迫により臨床症状(疼痛,他臓器圧迫,出血)を現してくることがある.小さな非機能性腫瘍は,主として剖検時に偶発的に発見されるにすぎない.
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