Japanese
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特集 泌尿器科領域における生検
前立腺生検
Prostatic Biopsy
岡本 重禮
1
Shigehiro Okamoto
1
1聖路加国際病院泌尿器科
1Department of Urology, St. Lukes International Hospital
pp.349-354
発行日 1974年4月20日
Published Date 1974/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413201795
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はじめに
前立腺疾患の診断としてもつとも信頼性が高いのは直腸診であり,この方法が洋の東西を問わず広く普及している所以である。熟練した泌尿器医の右示指が前立腺疾患特に前立腺癌の鑑別に重要な役割を演じていることはいうを待たない。しかし,この直腸診による診断にも自ずから限界があり,たとえば肉芽腫性前立腺炎(Granulomatous prostatitis)と前立腺癌の鑑別はほとんど困難であるし,前立腺癌の直腸診による的中率も著者ら1)の統計では65%となつている。Kaufman2)によれば前立腺被膜外に浸潤した前立腺癌すなわち非治癒期にあるものでは90%の的中率であるが,治癒期にある早期癌では47%と的中率が低くなつている。
一方,前立腺癌の治療は漸く反省期に入り,単にホルモン療法だけによらず,他の治療法との併用療法が要求されるようになつてきた。そのためには,前立腺癌の浸潤度も的確に決める必要がでてきている。これらの要求をみたすためには直腸診だけでは当然足りないわけであるが生検をうまく利用するのも一策である。
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