文献抄録
腫瘍に伴う尿路粘膜の異形性について
pp.600
発行日 1973年7月20日
Published Date 1973/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413201646
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膀胱癌の際に肉眼的に内視鏡にまつたく正常にみえる粘膜でも,病理組織学的にはいろいろな病変を呈していることは既に諸家の指摘しているところである。この粘膜の形態的変化は再発生の癌性変化と考えるべきで,その40%はin situの癌病巣が形成されている。この事実は膀胱癌・腎盂・尿管癌の術後の膀胱再発が示している。
著者らは膀胱癌100症例の治療に当つて腫瘍部以外の一見正常とみえる粘膜について多数の生検を試み,かつ経過観察中に異形細胞が尿中にみられる症例については更に組織生検を行なつた。対象として腫瘍以外の膀胱症状を訴える患者の粘膜を比較した。粘膜の組織所見を①正常,②慢性炎症性変化,③扁平上皮化生,④腺性化性,⑤上皮の異形を伴つた腺性化性,⑥癌性変化の腺性化生,⑦上皮の異形増殖,⑧粘膜癌の8群に分類して検討した。粘膜の異形増殖とは細胞層が5層以上で核に不規則性の認められるものとした。
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