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特集(増刊号の)5 尿路・性器疾患の化学療法(感染症と腫瘍)
Ⅰ.尿路感染症の化学療法
尿路感染菌の薬剤耐性
Drug-resistance of Urinary Tract Infectious Bacteria
三橋 進
1
,
伊予部 志津子
1
Susumu Mitsuhashi
1
,
Shizuko Iyobe
1
1群馬大学医学部微生物学教室
1Department of Microbiology, School of Medicine, Gunma University
pp.7-13
発行日 1972年12月25日
Published Date 1972/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413201508
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はじめに
従来,グラム陰性桿菌による感染症としては,法定伝染病の起因菌による赤痢菌およびサルモネラ菌感染症が重要視されていたが,現在はこれらの病気に加えて,大腸菌,緑膿菌,クレブシェラ,変形菌などによる感染症が問題になつている。これらグラム陰性桿菌による感染症としては,耳鼻科領域における感染症,胆道感染症,産褥子宮内感染症および尿路感染症があげられる。いずれの場合もその起炎菌は,従来は病原性の弱い菌として重要視されていなかつたものが,これまでの病原菌に代わつて感染症の主役をなすに至つたものである。
現在起炎菌として分離される多くが長期にわたつて化学療法剤の治療を受けた慢性患者から由来したものであり,多くの化学療法剤に対して耐性化しているという事実は,これら起炎菌が化学療法剤に対して自然耐性であるか,もしくは耐性を獲得し易い性質をもつているために,化学療法という淘汰に対して生き残つた菌であることを示している。
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