文献抄録
腎移植後にみられた膀胱尿管逆流
pp.898
発行日 1972年10月20日
Published Date 1972/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413201468
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著者らは死体腎移植後にみられた膀胱尿管逆流について検討し,膀胱尿管吻合法を比較している。移植腎は死体腎21腎で排尿時の膀胱撮影と排泄性腎盂撮影について逆流の有無を調査している。移植尿管数は24本で,これは1例は重複尿管で2例は2回の腎移植を施行したためである。平均の経過観察は2年2ヵ月で,最短6カ月,最長4年である。
尿管の吻合法は3方法に3群に分けて施行されている。第1群の15尿管は膀胱粘膜下をトンネル式に尿管を通して尿管口を膀胱粘膜に吻合する。粘膜の吻合は一部の例にニツプル法を用いたが,他は簡単に粘膜相互に吻合した。第2群は膀胱壁を貫通するように尿管を通して尿管および膀胱粘膜を吻合する方法で6尿管について行なつた。第3群はPsoasHitchあるいはBoari法で膀胱壁弁をつくり尿管ないし腎盂に吻合した。これが3尿管である。以上の吻合法を施行して逆流の有無について調査した結果は,第1群では逆流を呈した症例は1で,他の14尿管については満足すべきものであつた。第2群では逆流が5尿管で,1例のみ逆流がなかつた。
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