綜説
Dysgonadism
石神 襄次
1
Joji Ishigami
1
1神戸大学医学部泌尿器科学教室
1Department of Urology, School of Medicine, Kobe University
pp.365-373
発行日 1972年5月20日
Published Date 1972/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413201376
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Dysgonadismとは性腺の発生異常によつて惹起された疾患の総称ということができる。しかし,発生的には異常を認めなくても,なんらかの原因によつて発育課程の性腺の機能不全,あるいは異常を示した場台もこの範疇にいれられよう。性腺の発生異常としては,無発生(gonadal agenesis)と,異発生(gonadal dysgenesis)がふくまれるが,臨床的に両者を厳密に区別することはきわめて困難であり,正確な無発生例は現在まで少数が報告されているにすぎない。
一方,正常な高等動物においては,卵と精子の結合によつて受精卵ができるが,この時点で個体の遺伝的な雌雄の決定がおこなわれる。かくしてそれぞれの決定された性に応じた分化がはじまるものである。すなわち,性腺原基は雌雄いずれの性腺にも分化しうるpotencyをそなえているが,遺伝的性の決定によつて,他の性腺原基は萎縮消褪し,睾丸,卵巣いずれかの性腺に発達する。かかる性腺の分化にしたがつて性路も一方の方向に分化し,ここに身体的性別が形成される。さらに生後,個体の持つそれぞれの性腺の機能の発現によりいわゆる2次性微がおこなわれ,ここに始めて完全な男女ができあがるものである。
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