文献抄録
単腎者の鋳型結石について/エストロゲン治療による血清中コレステロールおよびTriglyceride濃度の影響
pp.712,753
発行日 1971年9月20日
Published Date 1971/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413201223
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著者らは単腎にみられた鋳型結石症17例について,結石摘除群とそのまま経過観察群とについて,その患者の予後を比較検討している。症例は31歳から70歳までの17例で男子8,女子9名である。この17例中15例は以前に結石のために摘出術をうけた症例で,ほかの2名は結石性尿管狭窄で他側腎機能の消失しているものである。全例とも尿路感染を示し大腸菌,変形菌,線膿菌,嫌気菌類が培養された。全例に副甲状腺機能亢進はみられなかつた。尿酸高値のもの2名があつたが,その結石は1例は尿酸結石,他は燐酸アンモニウムマグネシウムであつた。17名の内9例は結石を摘出(腎切石5,腎盂切石4)し,残り8例は非手術群である。非手術群では腎機能をBUN値でみると40mg以下5例で,60mg以上3例であり,BUN 100mg以上の2名は3年以内の経過で尿毒症にて死亡,その他に結石と関係なく4名が死亡しているが,25年の長期間観察された1名はその間腎機能はほとんど低下をみなかつた。
手術群の9例は術前いずれもBUNは60mg以下であつたが,手術後2名は手術による機能障害のためBUNが130mgから250mgに上昇した。その他はほとんど正常値にあつた。術後の再発は9名中5名で,平均1年半で再発をみている。手術死亡は2名で,ほかに3名は結石に関係なく死亡し,生存は4名となり,内2名に結石の再発を認めている。
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