増刊号 臨床化学実践マニュアル
話題
1.実試料標準物質
コレステロール標準血清
桑 克彦
1
,
梅本 雅夫
2
1筑波大学医療技術短期大学部
2(財)化学品検査協会
pp.78
発行日 1993年4月15日
Published Date 1993/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543901492
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近年成人病対策の一環として血中コレステロール濃度が重視され,信頼のおける測定値を得ることが,重要な課題となっており,臨床検査における日常法の正確さの基準となる標準物質が要望されていた.
しかしよく知られているとおり,凍結乾燥した血清はリポ蛋白質が変性しているので,脂質測定の標準物質には適していない.これはリポ蛋白質の変性によりその内部にあるコレステロール,コレステロールエステルのミセル化が新鮮血清と異なるため,コレステロールエステルの分解反応速度が遅くなったり,完全に分解しないなど,新鮮血清と異なった挙動を示す結果,標準物質として役に立たたないためである.
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