Japanese
English
特集(増刊号の)3 小児の泌尿器疾患
Ⅱ.病因と治療
Meningomyelocele術後の排尿異常—排尿生理学的問題
Urinary Disturbance after Surgery of Meningomyelocele: Some Fundamental Problems
宍戸 仙太郎
1
,
今林 健一
1
Sentaro Shishito
1
,
Ken-ichi Imabayashi
1
1東北大学医学部泌尿器科学教室
1Department of Urology, Tohoku University School of Medicine
pp.89-97
発行日 1970年12月25日
Published Date 1970/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413201072
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
Ⅰ.脊髄髄膜瘤(Meningomyelocele)の発生病理1)
胎生期に椎骨原基と背部筋原基の相互誘導関係がなんらかの破綻をきたすと,椎体からの椎骨管腔形成が異常となり髄縁の融合が妨げられていわゆる脊椎披裂が生ずる。このような骨形成不全奇型の発生は前述のような過程の関与から頸部または腰仙関節部に多発しやすいが2),頸胸部に発生したものでは神経損傷のもたらす影響が大きいため生児出産の可能性はかなり低い。これに対して腰仙部をみられる脊椎披裂はこのようなことが少ないため先天性奇形児として生存しうる。
一方,脊椎披裂を有する場合,大多数の例でその部の脊髄または脊髄神経根の損傷がみられる。すなわち脊椎披裂は開放性披裂Spina bifida apertaと嚢状披裂Spina bifida cysticaとに分けられるが,前者の場合には椎骨後部に脊髄表面の髄質血管層を露出するし,また後者の場合には第1図で示すごとく椎骨後方に脊髄実質または脊髄神経根を伴つた脊髄膜がヘルニア状に脱出するので,周囲組織の圧迫,神経組織の牽引,変形などにより種々の程度に神経組織は破壊される。したがつて臨床的にも運動障害,知覚障害などの体性神経障害および排尿障害などの自律神経障害がその支配領域にみられ,また嚢状披裂で脊髄管腔との交通が良く圧縮性の大きいものでは種々の脳圧迫症状も出現する。
Copyright © 1970, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.