文献抄録
若年者の尿膜管癌/上大腎杯狭窄症の診断治療
pp.1019,1032
発行日 1967年12月20日
Published Date 1967/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413200307
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尿膜管癌は極めて稀な疾患で著者のPondville Hospital Clinicsでは過去37年間に17688例の悪性腫瘍疾患中わずかに2例に過ぎず,その頻度は0.01%である。文献的にも尿膜管癌は100例を出ないと考えられる。尿膜管癌の70%は40才より70才台の年令に発生しており従来文献的には23才の報告が最も若い年令の患者であつたが,著者は15才および44才に見られた2症例を追加報告している。第1例の15才女子例は文献的にも最も若い症例と思われる。尿膜管癌の予後は極めて不良であるが,著者の若年者例は最近の高エネルギーX線治療で比較的長い経過を辿つた症例と考えられる。症例は15才女子で1957年10月に急性虫垂炎で入院,手術時に感染性尿膜管嚢腫も発見されて瘻孔形成をうけた。1958年10月にこの嚢腫の摘出術が考えられたが,一部が骨盤に癒着があり手術不能とされ生検の結果未分化癌と診断された。
患者は1959年8月Pondville Ho-spitalに転院,先ず腫瘍に4500Rの高圧深部治療を行なつたところ,疼痛は軽快約3力年間全く健康に過した。1962年10月両側肺野に転移が出現,これに対して4600R照射,回腸転移巣に2400R照射。その後1965年7月に骨盤部に3000R, Nitrogenmustardのクールを施行し一時小康を得たが1966年1月に全身転移にて死亡。
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