書評
「Medicine―医学を変えた70の発見」―William Bynum,Helen Bynum 編鈴木晃仁,鈴木実佳 訳
市野川 容孝
1
1東京大学大学院・社会学
pp.662
発行日 2013年8月20日
Published Date 2013/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413103287
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テレビ・シリーズの『大草原の小さな家』に,たしかこんなシーンがあった。ローラが学校から家に帰ってくると,姉のメアリーが本を読んでいる。ローラが「何,読んでるの?」と尋ね,メアリーが「歴史の本よ」と答えると,ローラは次のように言って,そそくさと外に遊びに行ってしまう。「そんな死んだ人たちの話なんか読んで,何が面白いの。ぞっとしちゃう」。
勉強しないで遊びに行くことを正当化するために,たぶんローラはそう言ったのだが,ローラのこの言葉はなかなか本質をついている。人間は今を大切に生きるべきであって,その今を昔のために費やすことに一体,何の意味があるのか。ローラに歴史の本を読ませるのは大変だ。今の自分につながる歴史の本でなければ,ローラは決して読んでくれないだろう。
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