特集 泌尿器科診療ベストNAVI
Ⅱ 疾患・病態の診療
6 尿路結石および結石関連疾患
結石関連疾患
080 高カルシウム尿症
伊藤 恭典
1
1名古屋市立西部医療センター泌尿器科
pp.231-232
発行日 2013年4月5日
Published Date 2013/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413103149
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1 概念・病因
日本では全結石の80~90%がカルシウム含有結石である。カルシウム含有結石の50%がシュウ酸カルシウム(CaOx)・リン酸カルシウム(CaP)の混合結石,40%がCaOx単一結石,10%がCaP単一結石である。
高カルシウム尿症は主に2つの機序によりカルシウム含有結石を形成する。尿中にはさまざまな物質が溶解状態あるいは飽和状態で存在し,CaOxやCaPの過飽和・結晶析出には尿中カルシウム濃度が直接影響する。また,高カルシウム尿症ではカルシウム自体が結石形成抑制物質に結合し抑制物質を不活化する現象も確認されている1)。結晶核が形成された後には表面に晶質(カルシウム・シュウ酸・リン酸)の付着が続き,結晶は成長する。続いて,結晶が凝集し結石化が進む。日本人のカルシウム含有尿路結石患者においては,高カルシウム尿症の頻度は26%であった2)。
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