特集 泌尿器科診療ベストNAVI
Ⅰ 症状・徴候からのアプローチ
排尿に関する症状
001 排尿痛
加藤 久美子
1
,
鈴木 省治
1
1名古屋第一赤十字病院女性泌尿器科
pp.16-18
発行日 2013年4月5日
Published Date 2013/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413103069
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1 定 義
排尿痛は排尿時に痛みを伴うことをいう。膀胱,尿道,前立腺の炎症が原因となる場合が最も多いが,膀胱,尿道,尿管下端の結石,膀胱・尿道異物,膀胱癌(特に上皮内癌),尿道癌,前立腺癌といった悪性腫瘍,前立腺肥大症,尿道狭窄などによる通過障害,膀胱腸瘻,膀胱子宮瘻などの瘻孔,また子宮内膜症,子宮筋腫,尿道カルンクルなども原因となり得る。近年,ガイドライン(図1)1)が作成され重要性が指摘される間質性膀胱炎も,特徴的といわれる蓄尿時膀胱痛,頻尿,尿意亢進のほかに,排尿痛を症状に持つことがある。
排尿痛は,初期排尿痛,終末時排尿痛,全排尿痛にタイプ分けされる2)。初期排尿痛は,尿道炎,特に前部尿道に炎症がある際に起こる。尿道狭窄,尿道結石,前立腺炎などでもある。終末時排尿痛は,膀胱頸部から後部尿道に炎症がある際に起こると考えられる。頻尿や残尿感を伴って膀胱炎,前立腺炎でよくみられる。下部尿管結石,膀胱結石,膀胱癌でも起こる。全排尿痛は,膀胱,尿道の全体的な炎症を示唆し,膀胱・尿道結石,膀胱・尿道異物,膀胱癌などでみられる。
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